■E-Learn2004 報告(その2)
E-Learn 2004では、研究発表のほかにも、いろいろなプログラムが提供されていましたが、今回はじめて、「Roundtables」というセッションに参加してみました。
タイトルから想像していたのは、日本でいうところの「パネル」のように、複数の発表者が公開討論をするのかと想像していたのですが、いってみると、文字通り、「丸テーブル」に円座になってディスカッションするというプログラムでした。
当初、「Roundtables」が何なのかさえよくわからなかったので、とりあえず興味本位でのぞいてみたのは、
「"The Write Stuff:" Strategies for Improving Writing Skills in the Online Classroom」
というセッションでした。
テーブルに近づいたときはまだ3人しかいなくて、がらがらのテーブルで声をかけられたら離れることもできず、なんとなく席につきました。ところが、司会者が話をはじめた直後に、あれよあれよと人が集まって、あっという間に満席になりました(!)。
参加者はみな何らかの形で作文教育(大学生や社会人が対象)に携わっている人たちで、たしか私を含めて11名いたと思います。
ほとんとが北米の出身者で、あとは、英国、ドイツ、日本(私)から一人ずつ、というメンバー構成でした。この時点で、内心、「ぎゃ~っ!」と思ったことはいうまでもありません。
けれども、焦ったところで既に後のまつりです。始まってしまった以上、中座することはできません。まあ、黙って聞いてるだけでいいや、と観念して留まりました。
ところが、話に耳を傾けていると、議論は思わぬ方向へと展開していきます。なんと、参加者のほとんどが、いわゆるアウトラインに文章をあてはめる典型的な指導法に問題意識を抱き、新しい教育方法を模索している人たちだったのです。
そういうことなら、私にも言わせて!
というわけで、普段のままの自分で、考えを丁寧に伝えていたら、いつのまにか、しっかりと議論に参加している自分がいました…。(笑)
結局、1時間という時間枠が短く感じられたほど、あっという間にセッションは終わってしまいました。
そんなわけで、なんとなく中途半端な気持ちのままトイレに向かったわけですが、入口の前で、さきほど丸テーブルの向こう側(私の正面)に座っていた女性と出くわしました。
議論の最中、いちばん視点を共有できたように感じた人だったのですが、なにげなく会話をしているうちに、彼女の専門がレトリック(修辞学)であることを知って、なるほど、と納得しました。
「それにしても、私の言うことに対して、あんなふうにみんなが一斉に賛同してくれるとは意外だったな。10年前には、こういう反応は得られなかったのだけど。」
と私がいうと、
「それはそうでしょうね。でも、この10年で現場は大きく変わった。今では、文化的・社会的要因を考慮にいれることの重要性は、どの教科書も必ず指摘しているわ。」
と教えてくれました。
なんだか、それを知っただけで嬉しかったけれど、それならきっと、こちらから貢献できるものがあるんじゃないのかな?と、ふと思いました。
あいにく彼女は名刺を持っていなかったので、名前さえわからなかったけれど、なにか一緒にできるような気がして、とりあえず自分の名刺を渡しておきました。
これまで開発したカリキュラムは、実施の対象を日本人から留学生へと発展させてきたけれど、それを英語圏の学習者に広げることができたら、ものすごく面白そうだな~。
-----
ちなみに、このあとトイレで用を済ませた私は、手を洗いながら、ふと隣の女性に気づきました。さきほどのディスカッションでは唯一、最後まで沈黙を守っていた彼女は、ドイツからやって来た若き心理学者でした…。
(つづく)
タイトルから想像していたのは、日本でいうところの「パネル」のように、複数の発表者が公開討論をするのかと想像していたのですが、いってみると、文字通り、「丸テーブル」に円座になってディスカッションするというプログラムでした。
当初、「Roundtables」が何なのかさえよくわからなかったので、とりあえず興味本位でのぞいてみたのは、
「"The Write Stuff:" Strategies for Improving Writing Skills in the Online Classroom」
というセッションでした。
テーブルに近づいたときはまだ3人しかいなくて、がらがらのテーブルで声をかけられたら離れることもできず、なんとなく席につきました。ところが、司会者が話をはじめた直後に、あれよあれよと人が集まって、あっという間に満席になりました(!)。
参加者はみな何らかの形で作文教育(大学生や社会人が対象)に携わっている人たちで、たしか私を含めて11名いたと思います。
ほとんとが北米の出身者で、あとは、英国、ドイツ、日本(私)から一人ずつ、というメンバー構成でした。この時点で、内心、「ぎゃ~っ!」と思ったことはいうまでもありません。
けれども、焦ったところで既に後のまつりです。始まってしまった以上、中座することはできません。まあ、黙って聞いてるだけでいいや、と観念して留まりました。
ところが、話に耳を傾けていると、議論は思わぬ方向へと展開していきます。なんと、参加者のほとんどが、いわゆるアウトラインに文章をあてはめる典型的な指導法に問題意識を抱き、新しい教育方法を模索している人たちだったのです。
そういうことなら、私にも言わせて!
というわけで、普段のままの自分で、考えを丁寧に伝えていたら、いつのまにか、しっかりと議論に参加している自分がいました…。(笑)
結局、1時間という時間枠が短く感じられたほど、あっという間にセッションは終わってしまいました。
そんなわけで、なんとなく中途半端な気持ちのままトイレに向かったわけですが、入口の前で、さきほど丸テーブルの向こう側(私の正面)に座っていた女性と出くわしました。
議論の最中、いちばん視点を共有できたように感じた人だったのですが、なにげなく会話をしているうちに、彼女の専門がレトリック(修辞学)であることを知って、なるほど、と納得しました。
「それにしても、私の言うことに対して、あんなふうにみんなが一斉に賛同してくれるとは意外だったな。10年前には、こういう反応は得られなかったのだけど。」
と私がいうと、
「それはそうでしょうね。でも、この10年で現場は大きく変わった。今では、文化的・社会的要因を考慮にいれることの重要性は、どの教科書も必ず指摘しているわ。」
と教えてくれました。
なんだか、それを知っただけで嬉しかったけれど、それならきっと、こちらから貢献できるものがあるんじゃないのかな?と、ふと思いました。
あいにく彼女は名刺を持っていなかったので、名前さえわからなかったけれど、なにか一緒にできるような気がして、とりあえず自分の名刺を渡しておきました。
これまで開発したカリキュラムは、実施の対象を日本人から留学生へと発展させてきたけれど、それを英語圏の学習者に広げることができたら、ものすごく面白そうだな~。
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ちなみに、このあとトイレで用を済ませた私は、手を洗いながら、ふと隣の女性に気づきました。さきほどのディスカッションでは唯一、最後まで沈黙を守っていた彼女は、ドイツからやって来た若き心理学者でした…。
(つづく)
by tomac
| 2004-11-08 19:28
| eラーニングあれこれ