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コミュニケーション能力と学び(覚え書き)

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■対話デザイン→受講生のレポート(その2)

 コミュニケーション教育というと、新しい響きがあるかもしれませんが、「話しかた」教育は、第二次大戦後まもなく国語教育にて始められています。しかし、なかなか成果が蓄積されずに今日に至っているというのが実情です。その原因はいくつか考えられますが、「対話」の前提となる「対等な関係」は、「先生→生徒」という「縦の関係」が前提の日本ではつくりにくい、という要因が大きいのではないでしょうか。

 そこで、まずは、「権威ある立場」と「謹んで知識を受けとる立場」という上下関係を「こわす」ところから始めました。

 ところが、こんな視点もあるのだと知りました。

●「授業」に対話は要らない。人の行動は与えられた役割に大きく影響される。対話は1対1の時でしか完全に機能せず、複数の人間を相手に講義するためには講師と受講生という主従関係が必要不可欠だからだ。間にゼミ生をおき、講師と受講生という関係を残したまま、講師とゼミ生、ゼミ生と受講生が対話を行うというのは一見上手い方法に思えるが、実際にはゼミ生が全ての受講生の意見を理解して講師に伝えることは不可能であるし、また(威厳のある)役割を持たないゼミ生が講師の言葉を代弁しても、受講生は真剣に耳を傾けないであろう。間に他の部品をはめ込んでも、対話は完全に機能しなくなるのだ。よって、授業に対話を取り入れるというのは、二兎を追うが如し、ただの理想論に過ぎない、と私は考える。

 また、一方では、次のような意見もありました。

●「学生による授業評価」なのだから、様々な意見があるのは当然だろう。ただ、やはり私も「批判」だけでいいものを生み出すのは難しいと思う。それでは、まるで私たち受講生が、ゼミ生や講師より立場が上であるかのようだ。そういう風に感じる理由の一つは、講師自身が自分の立場をできるだけ下げているからではないかと思った。また、そのような講義はあまりないのではないかとも思った。現に私は、受講期間中、何かこの講義が、他のとは違う感じ…楽しみだった。ただ、それだけでは、やはり駄目なのだろう。受講生として、この講義に参加している以上、皆、同じ目線に立って、様々なことを議論していかなければならないのではないかと思う。

 そうなんです。「縦の関係」を「横の関係」に転換しようとしたら、「講師」が降りると同時に、「受講生」は昇らなければなりません。それが受講生の「責任」だと私は伝えました。「責任」とは、「参加者がみな同じ土俵にあがる努力をする」ことであり、それが「ルール」ではないか、と。

 たとえば、マイクを持って質疑応答に回るゼミ生の声が小さく、全体で共有できないということが多々ありました。これについては、私からもゼミ生に直接指導していましたが、アンケートで多くの受講生が改善を求めた点でした。この指摘はもっともです。しかし、受講生に対して、私はあえて言いました。

 「『聞こえません!もっと大きい声で言ってください!』と、ひとこと言ってくれたら、それですむことではないの?」

 これについて、こんなコメントが寄せられました。

●自分がいかに受動的に授業を受けて、勝手なことを言っているかを認識させられました。講師、そして、ゼミ生はできる限りの準備をし、講義に臨んでいます。我々受講生はそれをあぐらをかいて、ただ受け取るだけではならない。そう認識させられました。当たり前のことなのですが。

 しかし、一方では、こんなコメントもありました。

●授業の最初と最後に出てくるゼミ生だが、この授業のために色々下準備しているようだ。レポートの例を書いたり、スライドショーを作ったり、レポートを分析、評価したりとしているようだ。そのようなゼミ生に、段取りが悪いがために批判したりする必要はないと思う。しかし、その段取りの悪さを受講生の責任にした講師に対しては、疑問符がついた。おそらく株は大暴落したのではないか。責任転嫁、恥ずかしい。

 これは恐らく、アンケートを受けて、ゼミ生が凹んでしまった日のことだと思います。

 この日のゼミチームは、受講生と視線を合わせることもできず、チーム内のやりとりさえギクシャクしていました。当然ながら、ゼミの指導をした私の責任が最も重く、ゼミチームも段取りの悪さを正当化することはできません。

 けれども、同じ土俵にあがる努力もせずに、ただ自分の言いたいことを相手にぶつけるだけの「無責任な批判」に対して、「みんなでつくろうとしているときに、足をひっぱらないでください!」と私が思わず叫んだときのことを言っているのだと思いますが、

 「縦の関係」をこわして、「横の関係」に転換する、という試みは、多くの受講生に支持された一方で、「縦の関係」のままでいいから責任を押し付けないでくれ、という立場も(わずかながら)あることがわかりました。
by tomac | 2005-01-16 19:27 | 牧野ゼミ(対話デザイン)
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