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コミュニケーション能力と学び(覚え書き)

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■大教室の講義授業 (2003年10月30日)

  今学期から、授業科目「コミュニケーション論Ⅰ」の担当が始まりました。講義内容の準備もさることながら、私にとって最大のチャレンジは公平な評価方法の模索です。

 実は、学生によると、期末試験のみで成績が決まる科目がほとんどで、「学期の初めと最後の講義だけ出席すれば『優』がとれる」授業というのが少なくないそうです。もちろん、科目によっては、500人近い学生を相手にする授業もあるわけで、全員分の成績を細やかに管理するのは一人の教員には負荷が大きすぎます。それに、たとえ出席しても、寝てたり、しゃべったり、メールを打ったりでは、出席しないのと同じことで、結局、試験で理解度を測るより他に現実的な評価方法は存在しないのかもしれません。

 しかし、「真剣にやっても、いいかげんにやっても、評価は同じ、というのでは納得できない!」という学生の批判はもっともな言い分であり、私が学生なら、きっと同じように感じるだろう、と思わずにはいられません。はたして、大教室の講義授業で、がんばった人が、がんばったぶんだけ報われる公平な評価とは、どのような評価なのでしょう?

 今回、試験的に導入したのは、授業ごとの小レポートです。私がその日の講義内容から命題を一つ提示します。学生は、自分の考えに基づいて命題の真偽を問い、根拠と具体例を述べるという課題です(これは演繹的思考のトレーニングを意図しています)。提出されたレポートは一週間かけて採点、集計、分析します。そして、次回の授業の最初にフィードバックとして解説し、特に優れたレポートを全体にむけて紹介します。

 今ちょうど学期の半分を終えたところですが、私も学生もだいぶこの方法に慣れてきました。小さなレポート用紙を介した双方向のコミュニケーションは、当初想像していた以上に授業内容を深めていると感じています。私はレポートを読むことで、学生の理解度を把握できますし、鋭い洞察があれば、次の授業に活かすことができます。同級生の書いたレポートが紹介されるとき、学生は皆真剣に耳を傾けています。そして、その刺激が新しい講義内容への動機づけとなっているようです。

 正直いって、膨大な量のレポートを毎週読むのは時間がかかります。とはいえ、「真か偽か」の判断を裏付ける根拠と具体例を見分けるだけですから、作業じたいは単純です。それより、レポートの記述はその日の命題が適切なものだったかどうかの貴重な判断材料となるため、私にとっても勉強の機会を与えてくれます。

 「そんなこと、よくやるね」という声もありますが、私のような人間には、私語とケータイで雑然とする大教室で一人むなしく講義をすることのほうがよっぽど苦痛だろうと想像します。まだまだ授業ごとに浮上する小さな問題点を克服しながらの試行錯誤ですが、しばらく、このまま続けてみるつもりです
by tomac | 2004-10-16 18:02 | 牧野ゼミ(対話デザイン)
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