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コミュニケーション能力と学び(覚え書き)

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■E-Learn2004 報告(その3)

 ドイツからやってきた若き心理学者は、ドイツ人特有のすらっとした細身の長身で、
パサっとカットした感じの金髪ショートヘアが黒のパンツスーツとよく似合っていました。

 見るからにシャープな印象を与える女性でしたが、話しかけてみると、むしろ内気で、
恥ずかしがり屋さんでした。どうやら、「英語」が、それに拍車をかけていたようです。

 「え? ドイツ人なら英語は楽勝でしょう?」

 と思ったけれど、彼女は、旧東ドイツ出身で、ロシア語は話せるそうなのですが、
英語は、たぶん…日本人とあまり変わらない程度だったと思います。

 ディスカッションで沈黙を守っていたのは、言いたいことを言おうとしているうちに、
他の人が同じことをいってしまって、タイミングを逃してしまったそうです。それでも、
みんなの話をきいてるだけで、本当に楽しかった、というのですから、なんだか、
ますます日本人みたいで、いっそう親近感が沸きました。(笑)

 さて、心理学者の彼女が、なぜ作文教育のディスカッションに興味をもったのか?
とたずねてみると、驚くなかれ、ドイツ人学生の20%は論文が書けないというのです。

 「そんな、ばかな! ドイツといえば、ドイツといえば、ドイツといえば…!」

 ドイツといえば、頭に浮かぶキーワードは「批判的思考」です。

 「ヒトラー後のドイツ教育は、市民一人ひとりの『異議を申し立てる能力』の育成を
徹底してきたはずじゃないの?」

 「そのとおり。」

 「じゃあ、どうして?」

 「たとえば学生に、『あなたはどう思う?』ときくと、『さぁね。あんたはどう思うの?』
と返ってくる。私たちは、常に世界のトップだと思い込んで、作文教育にあまり関心を
払ってこなかったの。」

 これまでドイツの教育に敬意を払ってきた私としては、現実とのあまりのギャップに、
なかなか彼女の真意が理解できなかった、というのが正直なところです。

 たしかなことは、彼女が作文教育用のシステムを開発したいと考えているということ。

 現在、彼女は、技術者とチームを組んで、いわゆるインターアクティブな自学自習用の
英語学習ツールを開発中で、その仕組みを作文教育に応用したいと考えているそうです。

 私の疑問は、「正解」のある文法と違って、判断の基準が「文脈に依存する」議論を、
どうやってシステム化するのか?ということでした。

 「うーん。むずかしいね…」

 はにかみながら、そう笑う彼女を前にして、

 コンピュータと向き合うインターアクティブなツールは、語学学習には適していても、
作文教育では、せいぜいアウトラインにあてはめるところまでだろうなあ。恐らく、
出発点としては機能するだろうけど、結局は、丸テーブルで共有された問題意識に、
たどりつくことになるのではないかな?

と思ったけれど、口には出さず、「いつか、私のことを思い出したら、連絡してね…」
とだけ伝えておきました。
by tomac | 2004-11-11 18:55 | eラーニングあれこれ
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