コミュニケーション能力と学び(覚え書き)

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カテゴリ:『「議論」のデザイン』( 22 )

◆十字モデルと評価の研究

『対話による学びへと続く道』の執筆は2005年以来8年かかりました。この仕事にどっぷりつかっていたせいか、それ以前の研究を半ば忘れかけていた(記憶の奥に眠っていた)のですが、いま改めて、十字モデルによる評価の研究に立ち返ってみると、重要なヒントは『「議論」のデザイン』の中にあることに気づきます。

さらにその原型は、自分が書いた論文の中に眠っていました。10年も経つと、自分が何を書いたのかさえ、正確には思い出せないのですが。

◆論理構築力とメディア活用能力の分析に基づくグループ学習の効果(2004)

◆議論構築の動的モデル:RGBカラーモデルによる論理の多様性の表象(2005)

まるで、タイムカプセルのように、過去の自分が現在の自分にあてたメッセージを受け取るかのようです。

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by tomac | 2014-10-13 12:39 | 『「議論」のデザイン』

◆届いてるんだ。

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突然のメール失礼いたします。私は、広島大学教育学研究科(国語)修士1年・幸坂健太郎と申します。研究内容は「論理的思考力を育成する国語カリキュラム」の研究です。研究を進める中で、先生の論文、著書(『「議論」のデザイン』)に出会いました。先生の論は、自分の中で新鮮な論でした。

メールさせて頂いたのは、先生の著書の内容に関することです。私は、まだまだ勉強不足であり、ゆっくり先生の著書を読ませて頂いているのですが、第7章にきたところでどうしても理解できなくなってしまいました。著者である牧野先生に伺うのが一番良いだろうと判断し、失礼ながらもメールを送らせていただいた次第です。お伺いしたいことは、以下の点です。私の理解不足からくる質問になってしまうかもしれないのですが、ご容赦ください。もし先生にお時間ができましたら、返信くだされば幸いです。よろしくお願いします。


質問:(細かいことですみません。2点あります。)
1、p.157に「「メッセージ構築の層」(第3層)には言語化・非言語化レベルの二極(証明・物語)があてはまる」とあります。しかし、p.136の表6.6を見てみると、「言語化・非言語化レベルの二極」には、5~8(「明示的」~「語り的」)があり、「証明・物語」は「受け手」の行にあります。これはどういうことでしょうか?

2、p.156の図7.5についてです。先生は、二次元の紙面上に表すことを断った上で、三次元の図を描いておられます。この図は、三次元上で、同じ大きさの層が縦に重なり合っているのか、それとも、上にいくほど層が小さくなっていくピラミッド型なのか、もしくは逆ピラミッド型なのか、が判然としませんでした。図7.5から判断するに、自我層が一番小さく、世界層が一番大きいです。これを図7.4との関係で考えると、自我層が一番下、世界層が一番上ということになります。なので、先の3つのうち、逆ピラミッド型なのかな、と自分は考えました。この理解でよいのかどうか、というのをお聞きしたいです。
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広島大学教育学研究科
幸坂健太郎さん

はじめまして、関西大学の牧野です。『「議論」のデザイン』は研究者向けの本なので、修士1年生の幸坂さんが(解説なしで)一人で読んで理解するのは、やや難しいかもしれませんね。でも、とても丁寧に読み込んでくれている様子が伝わってきましたよ。どうもありがとう。

実は、学期はじめのこの時期はとても忙しくて、じっくり回答を書く時間的な余裕がありません。ヒントをお伝えします。考えてみてください。


まず、質問2へのヒントですが、p.318の図13.1をご覧ください。この図とp.135の「小宇宙」が合体して全体像が描けたことになります。その意味では、質問1の疑問点は、全体像に至るまでの部品を個々に理解しようとしていることによるのではないかな?と思いました。

それから、言葉の違いにも着目してください。p.157「メッセージ構築の層」(図7.7の第3層)は、【メッセージ構築】であるのに対して、p.136の表6.6は【メッセージの共同構築】です。この言葉の違いがご理解いただけたら疑問が晴れるのではないかと思います。「メッセージ構築とは送り手と受け手の間で意味が共有された時点で成立する」という考え方です。

ちなみに、私からも質問していいでしょうか。この本を読み始めたきっかけは何でしたか?

牧野由香里

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牧野先生

返信遅くなって申し訳ありません!お忙しい時期を考慮せずにメールしてしまったことをお詫びします。お忙しい中、ご丁寧な返信をくださりありがとうございます。

ヒントを拝受いたしました。また、(7章で躓きましたがそのまま読み進め、)『「議論」のデザイン』を読み終わりました。本の内容はまだまだ理解できていません…先生から頂いたヒントも、今熟考している最中です。ただ、この本は、私の研究、すなわち国語科における論理的思考力育成カリキュラムにとって、貴重な一冊になるのではないか、と自分なりに判断しました。もっと多くの文献と照応させつつ、消化していこうと思います。もし先生からのヒントで内容が読み解けたならば、また連絡させてください。恥ずかしくない回答を考えます。宜しくお願いいたします!

先生から頂いた質問に回答いたします。

河合塾の現代文講師でいらっしゃる成田秀夫先生に紹介していただきました。成田先生とは、広島大学で国語教育を研究しておられる難波博孝先生を通じて知り合いました。国語科では今、論証モデルとしては、往々にしてトゥルミンモデルが用いられています。成田先生から、「トゥルミンモデルについては牧野先生が論じていらっしゃる」ということを伺い、牧野先生の著書も、その際、同時に教えていただきました。成田先生が、牧野先生によろしく伝えてほしい、とおっしゃっていました。

広島大学・幸坂健太郎

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幸坂さん

お返事(ご回答)ありがとうございました。ご回答の「続き」も楽しみにしておりますので、またご連絡くださいね。

ホームページの【お便り】をご覧いただくと、この十年間の歩みをふりかえることができますが、国語教育に関していえば、十年前の時点ではまだ「コミュニケーション」が前面に出されていて、「論理的思考力」の存在感は薄かったように記憶しています。学校教育の現場では、十年間の試行錯誤を経て、この問題意識にたどりついた、ということなのかな?と感じました。いずれにせよ、学校教育(国語教育)の現場で私の提案が何らかの形でお役に立てるとしたら、そんなにうれしいことはありません。今後の展開を楽しみにしております。

ところで、成田秀夫先生がご紹介くださったというお話は意外でしたが、たいへん光栄です。私からも、ぜひ、よろしくお伝えください。

牧野由香里

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つづく

◆メール交信のつづき◆
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by tomac | 2009-09-30 12:14 | 『「議論」のデザイン』

◆人生の折り返し地点

b0046050_14525771.gif仕事だけが人生ではないけれど、職業人生というものがあるとしたら、たぶん今が折り返し地点だろうなと思っています。『「議論」のデザイン』(ひつじ書房)を出版できたことは、植物の人生にたとえると、ようやく一つ、花が開いたあたりでしょうか。このあと、綿毛をつけた種たちが旅立つわけですが、はたして風にふかれたその先でどこにたどりつくのかはわかりません。自分にできるのは、一つひとつを丁寧にこしらえて、ふわふわの綿毛で包むことでしょう。

とりあえず、裁判員制度とか、教員免許更新制とか、まもなく始まる新しい制度にはもちろん賛否両論あると思いますが、私にとってはまちがいなく追い風になるはずです。

ただし、人生は何が起きるかわかりませんから、健康管理は怠らないようにしないと…。最初に自覚症状が現れたのはちょうど3年前になりますが、さきほど主治医と電話で話して検査の結果を確認したところ、治療のほうもようやく一つ区切りがつきました。
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by tomac | 2009-03-16 15:00 | 『「議論」のデザイン』

◆心の中に生きる人

『「議論」のデザイン』(ひつじ書房)は、米国の大学院に留学中のエピソードから始まり、その後さまざまな文脈で出逢った人たちとの学びあいの記録をあちこちに盛り込んでいますが、実際には、本の中には登場しない人(つまり、研究とは直接関係のない人)もいて、その人たちはひっそりと、私の心の中で生きつづけます。

米国の大学院に留学しようと思えば資金が必要ですから、大学を卒業して3年3ヶ月システムエンジニア(SE)として働きました。このときの経験が今になって活かされるなんて、そのときは想像できなかったです。それから、幸運にもロータリー財団の奨学金をいただき、金銭的に助かったのはもちろんですが、現地のロータリー活動に参加させていただけたのも貴重な財産になりました。

毎年毎年たくさんの留学生が世界中にあふれているわけですから、ホストといっても名前だけの形式というケースは珍しくないはずですが、自分はとっても恵まれてたんだなあとふりかえるのは、私を迎えてくださったホストロータリアンが心の底から尊敬する人格者だったことです。いつも丁寧に温かく導いてくださいました。

その方は市長(というよりはやや小規模の自治体かな)をされていたので、たかが留学生の私なんかのためによく時間を割いてくださったものだなあ、と思い返していますが、月一回のペースで、地域の各ロータリークラブの定例会に連れて行ってくださり、そこでスピーチをする機会をつくってくださいました。その経験からパブリックスピーキングの実践について本当に多くを学びました。

そして、会場までの往復のドライブで、私は夢を語り、その方は米国の建国理念についてわかりやすく話して聞かせてくださいました。オバマ大統領が歴史的な勝利演説をしたときは、自然とその方のことが思い出されました。

当時熱く語っていた夢がかなうまで、と思いつつ、ずっと連絡できずにいたのですが、先日思い切って人づてに連絡をしてようやくコンタクトがとれました。数年後に定年を迎えたその方が今まさに生きている人生は想像していたものとは異なるものでしたが、ホストロータリアンと留学生という関係とは違う、別の形の交流が始まるのかもしれません…
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by tomac | 2009-03-13 12:00 | 『「議論」のデザイン』

■こんなことがありました。

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◇◇◇◇ 先生

はじめまして、関西大学の牧野由香里です。
拙い研究にご関心をお寄せくださり、光栄に存じます。

(中略)

拙論などでよろしければ喜んでお送りさせていただきたいのですが、
実は、研究の過程で考察を繰り返し見直し、修正を重ねてきた関係で、
過去の論文は、現在の立場と微妙に異なっています。

以前はホームページに論文のpdfを公開していたものも
現在はリンクを外しております。

誠に申し訳ございませんが、そのような事情で
過去の論文を晒すことは控えさせていただけたら幸いに存じます。

ただ、これまでの研究をまとめた博士論文を昨年出版することがかないました。
こちらの記述のほうが、個々の論文よりもはるかに一貫性がございますので、
僭越ながらこちらを紹介させてください。

『「議論」のデザイン メッセージとメディアをつなぐカリキュラム』 ひつじ書房

当該の論文との対応箇所は以下の通りです。

(中略)

大学の図書館に所蔵されていない場合でも、
相互利用サービス等にて、上記のページをコピーしていただけると存じます。

もちろん、博士論文ですから、まだまだ未熟で不完全な状態ではありますが、
ここに書かれている記述が、少なくとも、現時点での私の立場を反映しております。

寛大なお心でご批評いただけましたら、たいへんありがたく存じます。
メールを頂戴し、ありがとうございました。

牧野由香里
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by tomac | 2009-02-16 10:45 | 『「議論」のデザイン』

■書評を賜りました。

本の刊行に際して、献本リストと呼ばれるものを作成しました。できあがった本をぜひ読んでいただきたいと思った方のリストです。しかし、こういう、なんというか… 暑苦しい本は、押し付けがましくなると、かえって失礼になってしまうので、ごく限られた方にしか差し上げておりません。正直な気持ちを白状すると、おそるおそる… という感じだったのですが、

よく存じ上げている先生方からの暖かい励ましのお言葉だけでなく、まだ面識のない先生方からも、たいへんありがたいご批評を頂戴しました。

たとえば、批判的思考をとりあげた教育実践に関する研究を進めていらっしゃる京都大学の楠見孝先生から、次のような書評を賜りました(公開についてはご了承いただいております)。

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牧野先生

先日は,新しいご本『「議論」のデザイン』をお送りいただきありがとうございました.
ご本は,コミュニケーション教育のカリキュラムデザインに焦点をあて,コミュニケーション能力の獲得の支援をいかにデザインするかについて,理論と実践,その評価に基づいて,「議論」による学びを明らかにした貴重な本であるとおもいました.
ご本は,「議論」をめぐる能力,プロセス,教育に関わる根本的な理論的分析,実践に有効な「議論の十字モデル」の提唱,そして豊富な実践例に基づく教材とデータ,そして考察が充実していて,この分野に関心をもつ研究者,実践者にとって重要な本になると思いました.
私は,批判的思考を研究テーマとしていて,大学の授業において,議論を通した協同学習によって,思考能力をいかに向上できるか,それをどう評価するかに関心の焦点があるので,ご本を拝読してとても刺激を受けるとともに,「議論」のデザインという,より大きな枠組みで研究を見直すことができました.
ご本は,今後の実践研究の指針として,授業や研究に活用し,また大学院生に紹介したいと思っています.
すばらしい本をまとめられたことを心からの敬意を表しますとともに,貴重なご本をお送りいただいたことを重ねてお礼申し上げます.

楠見 孝
京都大学大学院教育学研究科
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また、教育思想史や教育哲学をご専門とされている先生方からも、私などにはもったいないご批評とご助言を賜りました。

どなたも第一線でご活躍の先生ばかりです。まさかお返事をいただけると思っていなかったので、感激と同時に、緊張感で身が引き締まる思いです。
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by tomac | 2008-10-08 18:30 | 『「議論」のデザイン』

■親子の対話(ケータイメール編)

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2008/10/05 12:22
From: (母)
Subject: 今本が届きました(ハート・涙)

おめでとう(ろうそく)。かりの言った様に母さんにはサッパリわかりません。でも良くここまで頑張ったね。大した事です。父さんも、ゆかりは頑張り屋だから…と誉めていました。汚さないように気をつけるからね。\(^0^)/  
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2008/10/05 12:36
To: (母)
Subject: 意外と早く届いたね

すべては二人の遺伝子のおかげだよ。ありがとう (^-^)
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お世話になった方々に拙書を献上し、「立派な本ですね」と言っていただけるのは、生まれた子どもが祝福されているようで、とてもうれしく、ありがたいことです。ただ、親に誉めてもらえるというのは、また別の次元の喜びがあるものですね。いくつになっても…(笑)
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by tomac | 2008-10-05 13:10 | 『「議論」のデザイン』

■『「議論」のデザイン』 刊行!

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こちらは、『「議論」のデザイン』です。やっと刊行にいたりました。思いの外、時間がかかってしまいました。お待ち下さっていた方、長い間お待たせいたしました。関西大学総合情報学部の牧野由香里先生の「議論学」自体の創出を目指した挑戦的な力作です。

コミュニケーション研究と教育工学の接点に位置する議論のデザインをめぐる488ページにわたる大著です。議論自身を巡る様々な議論そのものが、この本から始まることになるのではないでしょうか。最後の締めは、板東が行いました。デザインは伊高純子さんです。

-----ひつじ書房ホームページより-----




          ■ひつじ書房のホームページはこちらからどうぞ■



もったいないご批評を頂戴し、身に余る光栄に存じます。長い長い道のりでしたが、辛抱強く、ともに歩んでくださり、本当にお世話になりました。


出産のたとえで言うなら、松本功社長・編集長は、妊娠してからずっと経過を診てくださった産婦人科のドクターです。最後の製作を担当してくださった板東詩おりさんは、出産を控えた入院中にお世話をしてくださった看護師さんでしょうか。

装画・装丁を引き受けてくれた伊高純子さんは、20年近い付き合いの古い友人ですが、本人のことばを借りれば、「分娩室で出産に立ちあった旦那みたいな役割だった」そうです(笑)

ドクターにとっても、看護師さんにとっても、旦那さんにとっても、さぞかしムツカシイ妊婦だったことでしょう…

どうもありがとう。

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by tomac | 2008-09-20 11:50 | 『「議論」のデザイン』

■産声

とうとう本が出来上がり、最初の20冊が出版社に届くという知らせを受けました。

まずはそのうちの一冊を送ってくださるそうですが、

なんだか、出産後、すぐに我が子に会わせてもらえない母親の心境です(笑)

本当に、ほんとーーーぉに、難産だったので、

生まれてくれた。それだけで、ありがとう。

そんな気持ちです。

この手に抱きしめる瞬間が、待ち遠しい。
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by tomac | 2008-09-19 18:40 | 『「議論」のデザイン』

■なんとか終えることができましたよ

結局、索引の校正全体的な最終チェック10日間 かかりました。

まあ、縁起がいい数!ということにしておきましょうか(笑)

明日(月)の朝一に出版社に届くように手配しました。このあと、修正の作業が済んだら、

いよいよ製本です。

できあがった本を手にする瞬間って、どんな感じなんでしょうね?

そりゃあ、もちろん、愛おしい でしょう。

でも、パラパラと見たら、あとはじっくり読んだりはしないんじゃないのかな。少なくとも、しばらくは。だって、見落としを発見するのがコワイ…


さて、日曜の今日も、研究室で後片付けをしていますが、なんだかんだいって、お盆休みと土日をまるまる奪われてしまったので(笑)、明日は一日ゆっくり休みたいです。ちょうど個人研究室の清掃の日なので、久しぶりに、自宅で静養?します。

ああ、でも、自宅の掃除もしないとねー(笑)
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by tomac | 2008-08-24 14:20 | 『「議論」のデザイン』
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