コミュニケーション能力と学び(覚え書き)

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■教師たちの学び合い

2004年12月といえば、ちょうど4年前です。とある中学校の先生たちが始めた学び合いが、長い月日を経て、学校改革の一つの形として、全国に発信されるまでに至りました。

私がビデオカメラを片手に記録を撮り始めたのは2005年2月ですが、毎週通っては授業中の小さな物語をレポートにまとめたり、職員室にへばりついて先生たちの様子を書きとめたり、とがんばれたのは初年度だけで、身体を壊してからはペースは落ちましたが、それでも継続して記録をとり続けました。

そろそろ一冊の本にまとめさせてくれる出版社を探そうかな…と思い始めた矢先、先方のほうから、お話しをくださいました。

たまった記録はすでに膨大な量にのぼります。もう一度目を通すだけでも気が遠くなりそうですが、まとめるとなれば、かなりのボリュームになるでしょう。内容がすかすかの薄っぺら本にはしたくないと思っていましたが、なんと!500ページ書かせてくれる、というのですから、これ以上のオファーはありえません。博士論文がもとになっている『「議論」のデザイン』でさえ、500ページにはわずかに届きませんから。

論文というのは、書いてる間はしんどくて、できあがっても、読んでくださいとは言えなくて、とても悲しい面がありますが(笑)、この「教師たちの学び合い」プロジェクトは、「学校」という文化に内在する小さな、でも、とってもリアルな物語をちりばめた大河ドラマに仕上げたいと願っているので(できるのかぃ?)、書いてる本人は楽しいでしょうし、できあがったら、今度こそ、たくさんの人に届けたいです。

もちろん、「教師たちの学び合い」に終わりはありませんが、ひとつの物語としてまとめるためには、クライマックスと大団円が必要です。はてさて、どういう結末になるのかしら…?と案じつつ、最後の授業撮りを迎えましたが、いやはや、ちゃーんとオチが用意されていました! ドラマに潜在する力ってすごいなあ。

そんなわけで、創作意欲はかきたてられますが、大きな仕事になりそうなので、その前に十分な休息のときをもって充電するつもりです。ここの更新もこれまで以上に!ペースダウンするかもしれませんが(スミマセン…)、ぼちぼちと続けていきたいと思います。
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by tomac | 2008-12-22 18:17 | プロジェクトいろいろ

■メリークリスマス

b0046050_18165228.gifふと気がつけば、今年も残りあとわずかですね。秋学期の授業が一段落したかと思いきや、次は卒業研究の追い込み…というわけで、次から次へと何かに追われる忙しさは相変わらずですが、クリスマスの頃には落ち着くといいな(年賀状もまだだし)。そんな中、今年もフィンランドから癒し系?のカードが届きました。青緑の光がとってもフィニッシュですね(なんてったって森と湖の国ですから)。幻想的な光の色はオーロラのイメージでもあります。まだ冬のフィンランドに行ったことがありません。いつか行けるといいな…
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by tomac | 2008-12-19 18:32 | わくわくフィンランド

忘れがちな大事なこと

b0046050_1856144.gif日本ファシリテーション協会の公開イベントに参加してきました。自分はつくづく専門バカになってしまっていたんだなぁ…と気づかされるような新しい刺激を、斬新な切り口からたくさんもらいました。どうしても、研究という畑にいると、物事をややこしく考えてしまいがちなんです。まる一日かけた集中的なワークショップは体力を使いましたが(笑)、ごくごくシンプルに本質に触れる、ということの楽しさを味わうことができました。
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by tomac | 2008-12-15 19:05 | やわらかい議論ワークショップ

■対話デザイン2008 → 新しい試み(その5)

「コミュニケーションと能力」の授業は、年内は昨日が最後でした。この日はゼミの卒業生(ゼミ第1期生であり、対話デザインをゼロから一緒に創ってくれたメンバーの一人)をゲストスピーカーとして迎えていたのですが、そういうときに限ってハプニングって起こるものなんですよね…(笑)

この日は朝から濃霧によるJRの遅延が広域に発生したため、受講生の多くが授業開始時刻に間に合わない状況でした。

それにしても不思議な偶然だな~と思ってしまったのですが、実は先週、

レポートを書く権利は「対話の責任」を担うことによって得られる。

という「命題」について、

グループワークによる話し合いを経て、受講生それぞれに自分の考えをレポートに記述してもらったのですが、

その結果、なんと!4分の3の受講生が、この命題に対して「真」と判断したのです。つまり、あれだけの厳しい出欠管理をしているにもかかわらず、その正当性を認めてくれたということです。

ただし、「偽」と判断した受講生の主張にも一理ありました。

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9時に着席しているといっても、講義を全く聞いていなくても(=責任を担っていない)、レポートを出せば点数がもらえる。対話の責任とは、ゼミチームのフィードバックや講師の講義にきちんと耳を傾けることであるはずだが、レポートを書く権利は、9時にレポート用紙を受け取った時点で発生する。これはおかしい。
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というわけですね。なるほど、なるほど。

しかし、これをふまえてゼミチームの出した結論には、うならされました。

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5点満点のうち、レポート用紙に含まれる「命題」「抽象」「具体」という3つの項目に何か書いてさえあれば、3点は取れる仕組みになっていて、その後は論理性の精度に応じて、4点、5点と加算されるのだから、

●対話に参加する意思に対して、3点 ( 1点~3点は、9時に間に合い、着席した対話参加意思の点数)

●きちんと考えて、対話を返したことに対して、さらに、2点 ( 4点~5点は、対話を行ったことに対しての点数)

ということになる。
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なるほどー、その通りだね!

こういう価値ある判断が、受講生の側から、ゼミ生の側から、自発的に生まれたということがすごいなあ、と素直に感動しています。

この対話デザイン・プロジェクトは、私一人の力だけでなく、多くのスタッフの協力と、受講生の賛同によって成り立っているものなので、自分だけの成果などと言うつもりはさらさらありませんが、

これほど学生一人ひとりの倫理的な価値判断をゆさぶり、影響を与え、育てることのできる講義科目は、日本中の大学を探しても、そうないだろうと思います…。


さて、

この日の濃霧によるJRの遅延は、いつもの日常的な遅延とは明らかに異なり、台風や大雪に匹敵する非常事態です。さらに、事務からも正式に対応の要請がありましたので、

この出欠管理システムを導入して以来初めて、例外的に、授業開始時刻を遅らせました。

すでに到着していた多くの受講生たちには試験の説明をしながら待ってもらい、遅刻者に対しても、いつもより遅くまでレポート用紙を配りました。

というわけで、予定通りにならなかったこともいくつかありましたが、ゲストスピーカーはちゃんと役目を果たしてくれましたし、このプロジェクトにハプニングがつきものだということは、本人も経験者ですから、痛いほどよく知っています(笑)。社会人として送り出したあとも、こうしてまた新しい挑戦を共有できて、うれしかったです。

…と、本年度の対話デザイン2008は本当に実り豊かな学びが実現したのではないのかな~と感じています。

初年度(2004年)の試みについては、『「議論」のデザイン』の中でも触れていますが、

5年目を迎え、システムとしてもかなり洗練された方法論を、いま改めて形にしてみたいなあ、と思い始めている今日この頃です。
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by tomac | 2008-12-11 18:11 | 牧野ゼミ(対話デザイン)

■取るに足らない話ですが

b0046050_18375647.gifこの鉛筆、たしか中学の卒業祝いか何かですが、母がどこかから見つけてきて子どもたちにあげるというので、「え、それなら私にちょうだいよ」と奪ってきました(笑)。さて、テレビをほとんど見ない私ですが、『篤姫』はなんだか欠かさず見ています。来週はいよいよ最終回ですね。いつも番組にちなんだ歴史的名所や建造物が紹介されますが、昨日は「徳川家康ゆかりの地」として駿府公園が紹介されましたよね。私の母校(中学)から歩いて10分ほどの距離です。駿府城が家康の隠居先というだけでなく、慶喜が江戸城を出たあと謹慎した場所だったというのは知りませんでしたが、200年以上も続いた徳川幕府の初めと終わりをひっそりと見つめてきたお城だったんですね。
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by tomac | 2008-12-08 18:59 | 日々の出来事

■対話デザイン2008 → 新しい試み(その4)

「対話の責任」という難しいテーマに正面から向き合う、といっても、昨年度のように、不正行為(レポートの代筆を他人に強要するような、ある種のいじめ)を発端として、受講生集団と講師の私が対峙する、という図式は今学期は必要ありませんでした。なぜなら、

不正する余地がないほど徹底した管理システムを導入したからです。

■詳しくはこちら■

個人的にはこういう管理的な方法で人を動かすのは好きではありません。が、必要に迫られて、

「レポートを書く権利を保障するためのシステム」

という位置づけで、この制度を導入しました。

制度的な工夫をこらし、なおかつ、運用のために、ゼミのメンバーたちの力を借りました。毎回かなりの人手が必要になるので、原則として全員に毎回の授業に参加してもらい、常に全員でよりよい授業づくりについて話し合い改善していく、という方針に切り替えました。

これが、よかったですね。

いくつものハプニングに遭遇し、その都度みんなで対応し、一緒に危機を乗り越える、という経験を重ねるごとにチームの絆が強まっていきました。「今や無敵のチームです」と私が絶賛したほど、メンバーたちがそれぞれ成長したことを実感しました。

実は、本日の授業の構想については、昨日のゼミの時間に、彼ら彼女らの提案で、私が当初描いていた筋書きを見直しました。「こういうことにチャンレンジしたいと考えているのだけれど、みんなの意見を聞かせてほしい」と問いかけると、多角的な視点から意見が出され、考えが深まりました。結局、受講生たち自身に話し合ってもらうという当初の私の考えに、グループワークで行うというメンバーたちの発想が加わり、具体的な手順については全員で相談しました。

この授業にグループワークを取り入れるのは今回が初めてでしたが、スタッフとしてのメンバーたちが、的確に、機敏に、鮮やかに、判断して行動してくれたおかげで、時間内に目的を達成することができました。

もちろん、約200名という人数、講義型に配置された椅子、15分間という時間的制約の中でできることは限られています。理想的なグループワークからは程遠く、改善点は多々あるものの、少なくとも、受講生一人ひとりに、

「責任」と「権利」

という、極めて抽象的で捉え所のない概念と向き合ってもらえたのではないかと感じました。

この成果はゼミのメンバーたちの協力なくして得られなかったのはもちろんですが、受講生の側にも、これまでの授業を通して、対話の参加者としての自覚が生まれ、意識が向上し、話し合いを通して考えを深めるということの素地ができていたから、だと思いました。
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by tomac | 2008-12-03 18:20 | 牧野ゼミ(対話デザイン)
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