コミュニケーション能力と学び(覚え書き)

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◆ひぃひぃ

昨年の夏休みに全体の半分まで執筆の作業を終えた『学び合う教師たち』は、ようやく全体の8割が完成しました。ワープロの原稿にして現在210ページほどです。一部は写真ばかりで、ページ数の印象が与えるほどの分量ではありませんが。

今回の特徴はなんといっても【物語】です。論文調の『「議論」のデザイン』とは「真逆」の体裁になっています。それが面白い、と自分では思いながらやってるのですが、編集者とのつめはこれからですし、公立中学校の現場をリアルに描いているので、写真の取り扱いなど、関係者と相談しなければなりません。

最終的にどんな形に落ち着くのかまだわかりませんが、まずは自分が創りたいものを形にしてみないと批評もいただけないので、とりあえずは原稿の完成が春休みの目標です。

ただし、ありがたいことに予定外のフィンランド出張が来月に決まりました。今回は個人の研究ではく、大学の業務として行かせていただきます。そうでなければ執筆を優先させたと思いますが、本の刊行が多少遅れても行きたい、と思いました(編集者の方もOKをくださいました)。

毎日が時間との闘いです。
(オリンピックを観戦できたのはほんの少しですよ)

なんだかここ数ヶ月の間にいろんな変化が周囲で起き始めて、すべてがつながっていくような不思議な予感がしています。といっても、自分にできることは、目の前の小さな可能性を着実に形にしていくことですね。
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by tomac | 2010-02-23 19:52 | 『対話による学びへと続く道』

◆日本男子フィギュアスケートおめでとう!

のびのびとすがすがしく、とても素敵でした。ありがとう。
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by tomac | 2010-02-19 14:25 | 日々の出来事

◆「社会人基礎力」と、プラスアルファ

最近よく耳にする「社会人基礎力」という言葉をご存じですか? 

◆こちらからどうぞ◆

経済産業省が呼びかけていて、近頃は企業の側も意識し始めているようですね。

・前に踏み出す力(アクション)
・考え抜く力(シンキング)
・チームで働く力(チームワーク)


という3つの力は、牧野ゼミの活動でも重視している基礎的な力です。

ゼミの学生たちを見ていると、もともと本人たちがもっていた能力が、対話デザインのようなプロジェクト活動を通して鍛えられ、3年生を終える頃には、ほとんどできるようになります。ここぞ、というときに発揮される彼ら彼女らの潜在能力の高さにはいつもいつも驚かされます。

しかし、あくまで「基礎力」ですから、真に問われるのは、この土台のうえに何を積み上げるのかということだと思います。

実際に、4年生の卒業研究・卒業制作になると、取り組みの個人差が顕著になりますが、その差は何だろう?とよく思うのです。今の時点で私に言えることは、

・向上心(中途半端に満足しない)

・自己管理(優先順位を見極める)

・自己改善(失敗を繰り返さない)


という、いわば「成長力」がどれだけあるのか、ということがその差を生み出しているような気がします。

学生にしてみれば、まずは目の前のシューカツですが、就職後の人生のほうがはるかに長く、実際の職業生活というのは、残念ながら、きれいごとばかりではありません。

何ができるか、ということ以上に、どんな働き手として生きていきたいのか、ということを考えられるようになってほしいな、と願っています。

とはいえ、うちのゼミのメンバーはみんな本当に素直でいい子たちですから、大丈夫です。
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by tomac | 2010-02-19 12:00 | コミュニケーション能力って

◆しびれた

男子スケート選手たち、元気をくれましたねー! 中でも高橋選手は今まで見たうちで一番のびのびと表現していたようにさえ感じました。スケートというよりダンスを見ているようで・・・鳥肌たっちゃいました!みなさん、フリーではぜひ悔いのない演技をしてください。
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by tomac | 2010-02-17 23:22 | 日々の出来事

◆オリンピックが始まりましたね

実に印象的な上村愛子選手のレースでしたね。あんなに危険なスポーツにチャレンジするだけでも、すごいことなのに、4年間の成果がたった1回のレースで決まるとは、勝負の世界は本当に厳しいですが、ご本人はもちろん、ご主人やお母様のコメントもすばらしかったですよね。

われらが関西大学の高橋大輔選手織田信成選手も、決して順風満帆な道のりではなかったのに、よくぞここまで、と思わずにはいられません。

高槻キャンパスのアイスアリーナでいつも練習しているので、「グランドを走ってたよ」とか「食堂で見かけたよ」という声をよく聞くけれど、私はまだ直接見かけたことはありません。でも、「素直ですごくいい子たちですよ」という話は関係者からよく聞きます。

先日もシンクロの井村コーチの講演を聴きに行きましたが、選手に最も必要なのは身体能力でも容姿でもなく、「心の才能」だとおっしゃっていました。

「あなたの課題はここだよって言ったら、素直に受け入れて、改善する努力ができる。その才能さえあれば、私はみんなメダル級の選手に育てることができる。」

あらゆる教育にあてはまることだと思いますが、「あなたの課題はここだよ」と指摘できる信頼関係を築くことが前提で、それには指導者と学び手の双方の努力が求められます。井村コーチはその努力をご自身にも課していらっしゃるはずだと思いました。
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by tomac | 2010-02-15 11:55 | 日々の出来事

◆卒業生からのお便り

早いもので、総合情報学部で働きはじめてもう8年になります。私にとっては留学生第1期生の牛冰心(ギュウビンシン)さんは『「議論」のデザイン』にも登場する卒業生の一人ですが、現在は東京のIT関連企業で研究開発に従事しています。

それだけでなく、外国人技術者(の卵たち)に対する日本語教育を担当することになったと聞いて驚きました。それ以来、十字モデルを使った授業づくりに取り組んでいます。牛さん自身が学生のときに、授業体験をしているのですが、いざ自分が授業をつくるとなると、かなり苦労したようですね。

けれども、学期はじめに、教えてほしい、と頼ってこられたときは「あなたは生徒たちの前では一人の教師です。まずは自分が試行錯誤してみることからしか始められないでしょう?」と突き放しましたよ(笑)。だって牛さんは、そんなことぐらいでへこたれないって、よく知っているから。

(※牛さんと牧野の奮闘記は本でも紹介しています:pp.302-306)

その牛さんから報告メールをいただいたので、一部を紹介します。まずは後輩の留学生たちが制作した動画教材に対する批評からです。

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牧野 先生

いつも大変お世話になっております。牛です。


■留学生の制作した動画教材について

早速ですが、まず、動画教材を拝見した感想を述べさせていただきます。さすが総合情報学部の学生であって、非常にレベルの高いものを仕上げています。

感想は以下のようになります。 十字モデルの応用はますます具体的になりました。それに、分かりやすい例を挙げながら、十字モデルを解説することは非常に良いとヒシヒシと感じられます。 なぜかと申し上げると、私はいつも、十字モデルを何に使うということばかり考えているので、 その逆のやり方のほうがわかりやすいと思うからです。

しかし、ビデオを拝見し、改めて十字モデルが誤解されやすいことも感じました。 十字モデルをコミュニケーションのツールとして使うのは良いのですが、 人を納得させよう、または、何かを説得しようとするために使われるツールだと思われがちです。 特に、今回の二例とも、結果的には何らかの主張を論じたいため、十字モデルが使われているような気もするし、 挙げられている例もすこし強引のように私は感じています。 (具体例に対する理解は個人差があるということですね。気になさらないで下さい。)

とはいえ、やはり、このように一つ一つ単独している十字モデルのパーツは、たくさん集まることによって、議論の場となり、 コミュニケーションツールとして使われますね。

従って、コミュニケーションツールとしての十字モデルに対する説明や、 使い方、場面の想定などの説明も大切だし、具体例として学生さんたちが作った作品とのつながりの説明も欠かせないと思っております。


■授業の期末報告

次に、私の教えている学校の期末報告をさせていただきます。 半年を通して、十字モデルを教えてきましたが、試行錯誤の中、得られたこともあり、反省したこともります。

得られたことは以下となります。 十字モデルの勉強を通して、議論の場で学生が積極的に話せるようになりました。 例え自分の意見が他の人と多少同じであっても、さらに何かを話すという姿勢が見られました。

また、人からの論駁を想定する力がついたのではないかと思いました。 例えば、以前は人の話さえ聴かない学生がいましたが、今では、相手の話に耳を傾けるようになり、 その後、自分なりの考えを言えるようになりました。

それに、何回か議論の場を設けることによって、学生たちは最初前に立つことに抵抗があり、文章を読んでも、自信がなさそうでした。 半年後の今では、彼らはパワーポイントを使いながら、とうとうと発表できるようになりました。 発表ぶりをみて、みんな成長したなと嬉しかったです。(笑)

しかし、反省すべきこともたくさんあります。私は十字モデルに対する理解が足りないため、最初、学生に何故これをやるかという説明が曖昧で、 学生もあまり納得していなかったのを覚えています。単に、学生に毎回のやり方になれてもらって、 だんだん分かってもらえるようになりました。

また、先ほど動画教材のほうでも述べたように、私は十字モデルのパーツに注目しすぎて、根本的なところに関しては説明不足でした。 従って、学生たちに最初は理解してもらえなかったと思います。

結果としては、いろいろとやってみて、少し大変でしたが、とても楽しかったです。 私も改めて勉強することが出来て、牧野先生を始め、チャンスを与えてくださった方々に深く感謝しております。 この一年間、私にとって、非常に大きな収穫が得られました。

以上です。

大変長い文章となってしまいましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

どうぞ、宜しくお願い申し上げます。

牛 冰心(Bingxin Niu)
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牛さん こんばんは、牧野です。

とても詳しく丁寧にまとめられた報告メールをどうもありがとう。 たいへん興味深く読ませていただきました。まずは、牛さん自身の成長を実感しましたよー! 授業を始めたばかりの頃と比べると、分析の視点が格段に成長しました。がんばったね!

牛さんの「単なる説得ツールとして誤解されやすい」という指摘は、まさにその通りです。うんうん。

ただ、私自身の考えも少しずつ変わってきていて、十字モデルの研修やワークショップを重ねてみると、教育的・社会的なニーズという意味では、やはり、そちらのほうが需要が高いようなのです。(レポートの書き方とか、プレゼンの仕方とか)

だから、最初のステップ(というより、入口かな?)としてはそれでいいのかな、と思うようになりました。

複数の人が協同的に十字をつくり、それらがさらに集まることによって、議論が積み上がっていく、というプロセスは、そのあとに続くステップですから、少なくとも「指導する側」がその違いを認識してさえいれば、それで十分ではないのかな。

たとえば、牛さんは、今回の試行錯誤を通して、最初のステップ(入口)と、それに続くステップ(説得→議論)の違いを見通せるようになったので、次の学期では、あらかじめ計画的に授業の流れをデザインできるようになると思いますよ。

これを抽象的に言えば、 「モノローグ」→「ダイアローグ」→「マルチローグ」 と、つながりながら発展していく流れです。
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すでに、教員を対象とした研修やワークショップを何回か経験しましたが、「明日でにも十字モデルを使おう!」というくらいの勢いをこちらが感じるほどに高く評価してくださる方々がいつも2割から3割はいらっしゃいます。ありがたいことですね。

この方たちはおそらく日頃から言語力(思考力・表現力)を育てる授業づくりに取り組んでいらして、その難しさを知っているからだろうと思います。

残念ながら、私がまだ、十字モデルの授業デザインをわかりやすく解説した教師用読本を準備できていないため、誰もが気軽に導入できるほどの汎用性はありませんが、幸いなことに、それを手伝ってくれるという人たちが、様々な分野で与えられてきているので、今後はその人たちと一緒に、それぞれの分野に適したコンテンツを共同開発していけたらいいな、と思う今日この頃です。
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by tomac | 2010-02-12 20:20 | 大学院でめざすこと

◆教職のすすめ

先の見えないこの不況下にもかかわらず、人手不足が確実に予測されている堅い職業があるのに、あまり知られていないように思うのですが、団塊世代が一斉に定年退職したあと、深刻な教員不足になることがわかっています。企業への就職も一つですが、教職という道も検討の余地があるかもしれませんね。

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もちろん、中途半端な気持ちでなれる職業ではないし、熱意だけでなんとかなる仕事でもありませんが、現代のような変革の時代は、未来の社会の担い手を育てることは、どんな職業にも劣らないほど、重要な役割だと思います。

もし卒業までに教職科目をとるのがたいへんならば、大学院に進んで教職科目をとる、という手もあります。私は基本的に、文系の学生に対しては大学院進学をすすめませんが(なぜなら、外資は別として企業への就職では不利になることが多いからです)、教職に限っていえば(とくに高校の教員は)、修士号の取得は間違いなく有利に働きます

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私自身は体調のことを考えて、もう無理をしないと決めていますが、教師の卵を育てることと、現職教員を支援することと、社会的な学びの発展に貢献できること、に関してだけは、機会が与えられれば、ある程度の無理をしてでも、できることはしたいと思って、仕事の優先順位を決めています。
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by tomac | 2010-02-09 17:39 | 大学院でめざすこと

◆知識を日常に (その5) 学問とは

シリーズ「知識を日常に」では、「コミュニケーションと能力」の試験から、答案の記述例を紹介してきました。最も印象に残った答案を一つ挙げるとしたら、次の記述を選びます。

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日常の中で行われるコミュニケーションは、今ではごく自然なことであり、誰もが意識して行っているわけではない。しかし、その中には必ず一定の法則が存在しており、知らない内に私達はそれを活用している事を知った。コミュニケーションの能力とは、それらの法則をいかにして活用するかであり、時と場合に応じて上手く使い分けられることができる能力である。
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なぜ印象に残ったのかというと、自分が大学生のときに書いた答案を久しぶりに思い出したからです。

大学1年のときに受けた「科学史」という一般教養科目でした。問題は正確に思い出せないけれど、試験会場の様子や、教壇まで解答用紙を持って行った足取りが、映像となって鮮明によみがえります。

あのとき、自由記述の問題で、私はこう書きました。

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真理は一つしかないはずなのに、その時代その時代の政治や権力、社会状況によって、真理が常にゆがめられてきた。それが「科学史」である。
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試験会場は机が雛壇式に並ぶ大教室で、最初に答案を提出して教室を出たのを覚えています。ナマイキ~な学生ですね(笑)。でも、成績は「優」でした。だからなのか?20年以上経過した今も忘れられません。

そんな昔のエピソードを思い出させてくれる答案でした。

知識は、日常に活用できるに越したことはありませんが、学問の価値は、実用性だけではかられるべきではありませんよね。今の私は、あのときの答案にもう一文を加えたいと思います。

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しかし、人間社会の文脈も、結局は真理を消し去ることはできなかった。それもまた「科学史」である。
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by tomac | 2010-02-05 18:00 | コミュニケーション能力って

◆知識を日常に (その4) 十字モデルの初級・中級・上級レベル

大学生が対象の授業では、学生生活や卒業後の社会生活において活用できるように…と考えますが、同じ知識でも、大学院生を対象とする場合は研究活動を想定します。そこで今回は、大学院生のふりかえりを紹介しましょう。

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私が全講義を終えて一番強く感じたことは、今までは、論理的思考による考え方を「感覚的に行っていたのではないか」ということです。自分の頭の中では、何となく理解していても、いざ自分の考えを組み立てて他の人に話す際に、どこかぎこちなく、まとめ上げるのにも時間がかかってしまう。そのような経験が多かったので、十字モデルを用いて自分の考えを目に見える形に直し、順序立てて論を組み立てる経験は新鮮なものでした。

しかし、「新鮮さ」が先行するだけではなく、「難しさ」や「苦しさ」も常に付きまとっていました。特に、全講義の中で行った二回の発表に向けての準備がそれに当たります。各章の内容を理解し、そこから問題意識をもって自分の論を展開していく。論文を一度も書いたことがないというわけではありませんが、十字モデルを用いた論理の立て方を学んだことによって、自分が論を組み立てる時に、どこでつまずいていたのかを知り、それによって、今までの組み立て方の甘さが浮き彫りになったため、しっかりした論を作り上げるのは想像していたよりも苦しいことでした。

それでも、この二回の発表を乗り越えたことで、自分自身も、一緒に学んできたみんなも力がついたのではないかと感じています。例えば、最終講義の時に、先生が言われていたように、発表を聞いてから、「みんなで意見を出し合い深めていくことが、自然とできるようになっていた」ことを自分の中でも感じることができました。また、修士論文構想を考えている際に、気がつくと自然と講義で学んだ方法を使って考えている自分がいたからです。

自画自賛をするのは、まだ早いかもしれませんが、一番苦労したこの講義が今後の生活のあらゆる場面で自分を助けてくれるのではないかと考えています。半年という短い期間でしたが、ご指導ありがとうございました。
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十字モデルを使っても使わなくても研究はもちろんできますし、即効性のある特効薬ではなく、体質改善をめざす漢方薬ですから、効果を実感できるまでには時間がかかります。ただ、多くの学生・院生の取り組みを見つつわかってきたことは、その時間軸とはどうやら活用のレベルに応じて、少なくとも3つの段階に分けられるということです。


初級: 自分の考えを組み立てるための雛形

中級: 自分の思考を対象化するための「鏡」

上級: 協同的な知識構築を支援する枠組み


この「初級・中級・上級」という考え方にあてはめるなら、ここに紹介した院生の場合は、中級から上級に移行しかけたところ、といえるのではないかな。
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by tomac | 2010-02-03 15:50 | コミュニケーション能力って
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